メンテナンスMAINTENANCE

非常用発電機の構造とメンテナンスの重要性

非常用発電機は構造が古くて単純なディーゼルエンジンを使用しているため、負荷運転をはじめ、オイル交換やバッテリー点検などのメンテナンスも必要不可欠です。
非常用発電機はエンジンを使用する構造上、定期的にメンテナンスをしないといけません。
車やバイクも点検整備をしないと、不具合を起こしたり、大掛かりな故障の原因になります。
構造が単純なディーゼルエンジンは、燃焼室で綺麗に軽油を燃やしきれず、カーボンが発生しやすいです。ディーゼルエンジンのカーボンは燃焼室や排気口周辺に付着していきます。メンテナンスをしないと始動不良を起こしたり、エンジンがかかっても本来の性能を発揮できず最悪緊急停止(エンスト含む)してしまう場合があります。

発電機のメンテナンス一覧

負荷運転だけ行えばいいものではない

非常用発電機は負荷運転を行う事が必要不可欠ですが、それだけをやっていればいいものではありません。

車やバイク、その他エンジンを使う工業機械などと同様に、定期的にオイル交換をしたり始動用の蓄電池の電圧をチェックすることが必要です。

また、電子系の部品の故障など長年使っていくと様々な不具合が出てきます。故障リスクを最小限に抑えるためにも、状況に応じてオイル交換やバッテリー交換、電装系の部品のチェックや配線等の確認を行い、いつ災害が起こっても問題なく稼働する状態を維持しないといけません。

正しいメンテナンスが必要

非常用自家発電機は6ヶ月に1回の機器点検1年に1回の総合点検を行う必要があります。

しかし、点検整備の目的は、法律に適合させるものだけではなく、火災等のリスクを最小限に抑える事です。法に基づいた点検だけ受けていても、その他のメンテナンスをしていなかったら被害が拡大してしまします。

施設の安全性の確保、万が一事故や災害が起こってしまった場合に二次災害、三次災害が起こらないようにする為にも正しいメンテナンスが必要です。

オイル・ラジエーター冷却水OIL RADIATOR COOLING WATER

冷却水の交換頻度と冷却装置の重要性

エンジンオイルとラジエターの冷却水の交換は非常用発電機を不具合なく使い続けるために大切な事で、専門家の判断で適切なタイミングで交換する必要があります。

非常用発電機のメンテナンスではエンジンオイルとラジエターの冷却水の定期的な交換も必要です。エンジンオイルと冷却水は経年数によって劣化して本来の性能を失います。

最低でも1年に1回ほどのオイル交換、2年に1回の冷却水の交換が望ましいと言われています。

適切な交換頻度

非常用発電機は基本的にディーゼルエンジンを使用しています。

負荷試験や点検時、災害時以外は稼働しない事やディーゼルエンジンの特性もあり必ず1年でエンジンオイルが要交換レベルまで劣化するとは限りません。使用しているオイルの種類や、環境、稼働状況、エンジン内部の汚れ方によって交換するタイミングは変わってきます。

点検するときはオイルとラジエターの冷却水の状態のチェックも必ず行いましょう。

冷却装置の重要性

非常用発電機のエンジンは長時間稼働するとエンジンオイルが高温になっていき、適正値以上に上がってしまうとオーバーヒートによる不具合や故障の原因になります。

負荷試験を行うときは、エンジンオイルの上昇や冷却装置が正しく稼働しているかもチェックしないといけません。

ラジエターの冷却水は商品によって違いますが100度を超えても沸騰しないように作られています。沸騰してしまうとそれ以上温度が上がらず適切な冷却効果が失ってしまいます。

冷却水を長く同じものを使い続けると最終的には沸点が下がってただの水に近い状態になってしまいます。

冷却水が劣化するとラジエターのサビや劣化などの原因になります。

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カーボン蓄積CARBON

始動不良や不調の要因になるカーボン蓄積

無負荷(空ふかし)運転により湿ったカーボンが発生し蓄積されていきます。そのままにしておくと排気管からの出火やエンジンの損傷、破壊などの原因になりかねません。非常用発電機は負荷運転で蓄積されたカーボンを燃やす事ができます。
カーボンが蓄積されるとトラブルの原因になります。
ディーゼルエンジンの特性上、カーボンがエンジン内部や排気口周辺に蓄積されていきます。カーボンが溜まると始動不良やエンジン不調の原因になります。
電気事業法による月次点検や消防法の6ヶ月点検又は年次点検で行う無負荷(空ふかし)運転によりシリンダー内部に蓄積された未燃燃料を30%以上の負荷を30分以上かけて燃料排出し、非常時に正常稼働ができる状態に維持しなければなりません。
1年に1回は非常用発電機をしっかり動かし、いつでも発電機が動かせる状態にすることが大切です。

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バッテリー・蓄電池BATTERY

バッテリーの寿命とメンテナンスの仕方

非常用発電機もバッテリー(蓄電池)を定期的に交換か修理する必要があります。車と同じで
バッテリーが上がるとエンジンが始動できなくなってしまいます。

非常用発電機は電力供給がなくても独自に発電できる機械ですが、始動時にはバッテリー(蓄電池)にためた電力を使う必要があります。

蓄電池(バッテリー)には寿命があるので、定期的な交換かメンテナンスをする必要があります。万が一バッテリーが寿命でエンジン始動に必要な電力供給ができなくなると一切、非常用発電機は動かなくなります。

非常用発電機のバッテリー(蓄電池)の寿命

おおよその目安は5~7年が寿命です。
バッテリーのメーカーや使用頻度、気温や湿度などの環境によっても変わってきます。場合によっては3~4年で寿命を迎える事もあります。
非常時に全く作動しない、という事態にもなりかねません。

バッテリーのメンテナンス方法

もっとも安心できるのは新品のバッテリーに交換することです。

密閉式ではない場合、バッテリー液や部品の交換、専用機械を使用した充電をおこなって復活させることも可能です。ですが新品交換に比べて耐久性は劣るので、2~4年後に再度交換か修理をする必要が出てきます。

バッテリー交換は点検業者に依頼するのが得策

非常用発電機のバッテリー交換は、点検業者でも対応可能です。
バッテリー(蓄電池)は容量が同じであれば、違うメーカーのものを使用しても問題ありません。

メーカーだと純正バッテリーの用意しかありませんが、点検整備業者であれば、複数のメーカーのバッテリーを扱っているので選択肢が多いメリットもあります。

普段点検整備を依頼している業者に相談すれば費用も安くしっかりした対応をしてもらえます。

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オーバーホールOVERHAUL

エンジンのリフレッシュ(オーバーホール)

非常用発電機のオーバーホールは主に劣化したガスタービンのメンテナンスで行います。技術力を求められる作業なので実績豊富な業者に依頼しましょう。

オーバーホールとは
エンジンやタービンを分解洗浄してリフレッシュさせる事です。

ただ洗浄するだけではなく、ガスケットなどを新品に交換して、グリスアップをやり直すなどの手間を加える事で、整備前の状態が経年劣化だけであれば、新品に近い状態まで回復させる事ができます。

メンテナンスの手法の中でもオーバーホールはもっともランクが高い方法で、損傷などの致命的な不具合がなければ、ほぼ全ての不具合を直せるとともにリフレッシュできます。
ただし、オーバーホールをする箇所にもよりますが、非常に手間がかかるため技術料(工賃)が高額になるデメリットがあります。また、専門技術と経験が求められる難しい工程なので、整備業者の腕で品質が大きく変わってきます。

非常用発電機のオーバーホールの必要性

オーバーホールは、費用対効果を考慮して、実施する必要性を考慮しないといけません。
試験運転を含めて少しでも使用している中古状態であれば、オーバーホールすることで相応のリフレッシュ効果は期待できます。

しかし、基本的にはメンテナンスにおけるオーバーホールは最後の手段という位置付けになっています。
医療で例えると…
負荷試験点検は健康診断でオーバーホールは手術です。
ディーゼルエンジンとは対照的にガスタービンエンジンは高温、高圧、高回転と過酷な状況を作って発電している事やタービンの構造自体は簡単な事から、オーバーホールの必要性が高いです。

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